ピエール・エルメ・パリに触れる。

年々、加熱しているフランスのパティスリー人気。数多くのパティスリーが日本に上陸していますが、その中でも絶大な人気を誇るのが、ピエール・エルメ氏が率いるピエール・エルメ・パリ。ザ・リッツ・カールトン京都では、その作品の数々をブティックで手にすることが出来るだけでなく、館内のすべてのスイーツがエルメ氏によりプロデュースされています。そんな深い関わりを持つザ・リッツ・カールトン京都で、開業1周年を記念してエルメ氏のイベントが開催されました。パティスリー界の鬼才に、独創的なクリエーションや京都についてのお話をうかがいました。

Pierre Hermé

ピエール・エルメ

シェフ・パティシエ。フランスのアルザス出身。自身の父親もパティシエであり、14歳にはガストン・ルノートルの元で修行を始め、その後常にパティシエの世界での鬼才として君臨している。数多くの名作を生み出し、バラとライチとフワンボワーズのハーモニーが圧倒的な存在感を放つ「イスパハン」はあまりにも有名。ザ・リッツ・カールトン京都では、レストラン、ザ・ロビーラウンジのアフタヌーンティー、宴会、ウエディングに至るまですべてのスイーツを監修。

ザ・ロビーラウンジのアフタヌーンティー

日本での第一歩。そして、京都へ。

ピエール・エルメ氏の経歴は、実に華々しいもの。14歳で名門ガストン・ルノートルに入り、早くからその才能を見出され、弱冠24歳でフォションのシェフ・パティシエに就任。パティスリー界で話題をさらったニュースでもありました。そして遂に、自らのブランドであるピエール・エルメ・パリを立ち上げ、その第一号店が東京でスタート。なぜ日本だったのか、その理由をたずねると、「これはもう、縁としか言いようがない。ブティックをオープンする前から、パティシエ協会の仕事などで、日本へ何度も訪れていました。そこで偶然の出会いがもたらした機会によって、私の最初のブティックはパリではなく、日本でオープンしたのです。それは、日本にスイーツを愛して、私のクリエーションを理解してくれる人がいたから、というのも大きな理由です」。
そしてさらに、新たな縁は京都へと続きます。ザ・リッツ・カールトン京都における、スイーツのすべてをエルメ氏が監修することに。
「私は既にホテル全体のフードコーディネートも経験したことがあるので、特別珍しいことではありません。それぞれのスペシャリストがコラボレーションすることで、新しいものが生まれるのはとても楽しいことです」という言葉通り、館内の各レストラン(日本料理 水暉、イタリア料理 ラ・ロカンダ、ザ・ロビーラウンジ)では、ブティックでは味わえないエルメ氏のスイーツが堪能できるのが魅力です。

エルメ氏自信作のクロワッサン イスパハン

ピエール・エルメ・パリ × 京都

京都といえば、和菓子でも有名です。中でも、京菓子は和菓子の頂点に立つ日本の伝統的スイーツ。 そんな土地で、どんなフランス菓子をエルメ氏が提案するのか、多くの人が注目していましたが、「私は、私が作りたいものを作り、その土地の人たち、もっと言えば世界中の人たちとシェアしたい。ただ、それだけ」と、答えはとてもシンプルでした。
「誤解しないで欲しいのですが、その国や土地に興味がないわけでも、無視しているわけでもありません。もちろん、個人的に京都は好きです。でも、和菓子という伝統的な菓子がある中で、私がそれに似たものを作るのはクリエーションじゃない。人気が出そうなものを作る、というのも違います。私は常に、クリエーション=人に新しいものを提案したいのです。そして、それを皆さんが美味しいと受け入れてくれたら、嬉しいです。でも、いつもそう上手くいくとは限らないんですよ。ベネズエラのカカオ産地に初めて行ったとき、ボンボンショコラを持参したのですが、現地の人たちには、あまり良い反応ではなかった。そんなこともあります。でもそれも、楽しいことなのです。例えばザ・リッツ・カールトン京都の朝食のビュッフェ台には、数多くのピエール・エルメ・パリの品がずらりと並びます。自信作のクロワッサンは、ぜひ食べてみてください。今回来日して、朝食べたのですが、本当に私が作る味と同じで感動的でした。ここでパリが感じられますよ。また、日本や京都で出会った食材には、大いに興味がありますし、使ってみたいものもあります。実際、それらを取り入れたものもありますよ」。

イマジン

エルメ氏が愛した日本の素材

「例えば、これを食べてみてください」と、自らサーブしてくれたのは、「イマジン」。数あるマカロンの中でも、日本ではザ・リッツ・カールトン京都でしか味わえない一品です。これには、どんなクリエーションが潜んでいるのか、心が躍ります。口にすると、パリッと歯ざわりの良い外側の生地がハラリと崩れる感覚を楽しんでいると、すぐになじみのある味が追いかけてきます。 「何が入っているか、当ててみて」と、ちょっといたずらっぽく笑うエルメ氏。まずは、濃厚な黒ゴマの風味が広がった後、カリカリとした食感がリズミカルに口の中で弾けます。さまざまな食感が折り重なるようにして、小さなマカロンに閉じ込められていますが、でも、このカリカリの正体は?

「分かりませんか?米です。食感を楽しんで欲しいから、クリスピーに仕上げてあります。でも、これも日本人に向けて作ったわけじゃないんですよ。日本の素材の面白さから、使いたいと思ったんです。私は素材の味、香り、食感に興味があるんです。それを表現したい。

デペイゼ

ほかにも、ザ・ロビーラウンジでも提供している「デペイゼ」にも小豆を入れていますが、これはライム、酢、ショウガを使って味付けしています。
小豆には、微妙な苦味というかアクがありますよね、その味とバランスを取るためにこれらの素材で味付けしました」と語るエルメ氏。和菓子ではこのアクをさらすことで調整しますが、フランス菓子らしい手法で新たな味を提案するところは、さすがとしか言いようがありません。

※「デペイゼ」は2015年3月20日までの提供。

ザ・リッツ・カールトン京都限定のマカロンボックス

触れて、味わうアートピース

アメリカのVOGUE誌から、「パティスリー界のピカソ」と称えられるほどで、21世紀のパティスリー界をリードするエルメ氏は、パティシエでありアーティストともいえるでしょう。フランス菓子は500年ほどの歴史を持ち、その中で多くのパティシエたちの手により、味はもちろんデザインやテクニックが発展し続けてきました。それを強く感じさせてくれるのが、エルメ氏のスイーツです。いわば、私たちにとって、ピエール・エルメ・パリの作品は、日常で触れて食べられる身近なアートピース。ファッションのオート・クチュールのように、独自に「オート・パティスリー(高級菓子)」というジャンルを確立し、新しいクリエーションに取り組んでいます。

例えば、味だけでなくパッケージなどにも、エルメ氏のこだわりがうかがえます。京都の観光名所とエルメ氏が描かれたザ・リッツ・カールトン京都限定のマカロンボックスを提案したり、日本を代表するグラフィックデザイナー・原研哉氏とコラボするなど、スペシャリストやアーティストとの取り組みにも意欲的。京都の伝統工芸や作家とコラボする予定がありますかとたずねると、「私はザ・リッツ・カールトン京都のロビーにも琵琶のアートピースがある、名和晃平さんの作品も好きなんです。彼のアトリエにも行きましたよ。これも縁だから分からないけど、良い出会いがあって、楽しいクリエーションができると楽しいですね。無理に機会を作るんじゃなくて、自然な出会いを待ちます」。また、新たなクリエーションに、京都で触れられるのが今から楽しみです。

ピエール・エルメ・パリ ブティック

  • 営業時間 11:00 – 19:00
  • 〒604-0902 京都市中京区鴨川二条大橋畔 ザ・リッツ・カールトン京都 1階
  • TEL 075-746-5555(代表)
http://www.ritzcarlton-kyoto.jp/restaurant/pierreherme.html